日本社会福祉教育学会 NEWS LETTER No.18

2013年7月5日発行

巻頭言

教員の学びの活動

2007 年の「社会福祉士法及び介護福祉士法」改正により、社会福祉士養成の新カリキュラムが実施されました。それに伴い、相談援助演習の時間数は 120 時間から 150 時間に変更となり、教える項目が増えました。また、演習の 1 クラスの員数や担当教員の要件も定められました。このことは、均質で充実した演習教育ができる基盤を作ったこととして評価できます。

しかしながら一方で、様々な状況にある学生が増え学習ニーズが多様化しているのも事実です。なかなか凝集性の高い演習クラスにならなかったり、演習課題に消極的な学生や、個別の配慮が必要な学生も増えてきています。そして法改正の影響で、初めて演習教育に携わる教員も増えました。私は社団法人日本社会福祉士養成校協会の教員研修講師として、ここ数年間、演習教育教授法を伝える立場で関わっており、そこでは初期の頃と現在の研修受講者の層の違いを感じています。現在は、これからの教員を目指す大学院生や、初めて演習クラスを担当する方が多くなってきています。まさに、演習担当教員の裾野が広がっているということでしょう。このように、演習教育に携わる人が増え、演習教育への理解が浸透することは結構なことではありますが、その反面、一人で抱え込み、演習教育方法に戸惑っている教員も見受けられるようになりました。

大学・養成校の教員は、今や研究だけを行っていればよい時代ではなくなり、多忙な校務や社会的活動を行うかたわら、教育にも力を入れる必要があります。とりわけ、多様化した学生に伝わる教育を行う必要があり、それを支える高度な教授法が求められています。すなわち、教員自身も日々研鑽を積み重ねていかなければなりません。では、どのようにしたら、高度な教授法は身につけられるのでしょうか。もちろん独学が主たる方法だとは思いますが、それ以外の方法もあります。

その一つとして、昨年度、私を含め何人かの教員で「ソーシャルワーク演習研究会」を立ち上げました。研究会では、各人の行っている演習教材を持ち寄り発表し、相互評価を行うことにより、演習教育の質を高めるピアグループとして機能することを目的としています。昨年度は、勤労感謝の日、社会福祉士国家試験の日や年度末の 3 月 31 日などに研究会を行いました。「学生が頑張っているのだから我々も頑張ろう」という気持ちで、いつも休日返上で行っています。模擬演習だけでなく、実習教育等で困っていることについても話し合う時間を設けています。

常に移り変わる学生の状況に対して、新しい知識や技術を教えるためには、教員も常に学び続けなければなりません。研究を行い新しい知見を明らかにするのと同時に、それを目の前の学生や院生にあわせて伝えていく教育を、車の両輪として実施していくことが、今教員には求められているのでしょう。私達の活動はほんの一例にすぎませんが、教員の多様な学びの活動が全国各地で展開され、日本社会福祉教育学会がその一翼を担うことができれば素敵なことだと思います。

理事 保正友子(立正大学)

目次

  • 巻頭言
  • 2013 年度第1回理事会報告
  • 会員の声 ~私の福祉教育~
  • この一冊:私が推薦します!
  • 学会探訪⑦~日本教育医学会~
  • 事務局だより
  • 投稿・情報提供求む

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