日本社会福祉教育学会 NEWS LETTER No.42

日本社会福祉教育学会 第13回春季研究集会 参加者の声

ICTを活用した演習・実習教育の現状と課題-本学会・課題研究の中間報告

 第13回春季研究集会では、昨年度(2021年6月)開催された日本社会福祉教育学会・第17回大会における学会企画シンポジウムをふまえ、その継続研究として課題研究(研究テーマ「ICTを活用した社会福祉教育のあり方に関する総合的研究」)について報告されました!

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

【大会プログラム】

開会の挨拶
志水 幸(日本社会福祉教育学会会長・北海道医療大学)
課題研究への取り組みと進捗状況
白川 充(仙台白百合女子大学)
研究報告
モデレーター:明星 智美(日本福祉大学)
【課題1】
ICTを活用したソーシャルワーク演習教育の現状と課題(30分報告・20分質疑応答)
研究報告:保正 友子(日本福祉大学)
山田 克宏(東大阪大学短期大学部)
大村 亜沙美(みやぎ県南中核病院)
【課題2】
ICTを活用した実習教育の現状と課題(30分報告・20分質疑応)
研究報告①:実習指導者の調査より
芳賀 恭司(東北福祉大学)
堀田 満生(音更町社会福祉協議会)
研究報告②:養成校の実習教育におけるICT活用の現状と課題
池田 雅子(北星学園大学)
全体討論

【参加者の声】

第13回春季研究集会「研究報告 ICTを活用した実習教育の現状と課題」に参加して

工藤英明(青森県立保健大学)

 研究報告は、養成校向けと実習指導者向けの2つの調査結果の報告であった。いずれの目的も「実態把握を通じて、今後のSW実習教育における活用の可能性や課題を探ること」であった。養成校向けの調査では、回答者の属性に偏りがある点が指摘されたが、いずれも調査結果を基に、二次調査に向けたディスカッションが行われた。

会長挨拶 志水幸会員(北海道医療大学)
会長挨拶
志水幸会員(北海道医療大学)

 さて、本学では、全学的にICT化が促進されており、2023年度からはペーパーレス化が宣言され、電子決済に移行中である。既にSW関連科目においても、演習や実習科目の一部でICTは活用されいる。他学科の実習科目では、既に先行して全面的なICTシステムが導入されている。社会福祉学科のSW実習教育等でも、2023年度から全面的なICTシステムを導入予定である。個人的には、他資格養成におけるオンライン化システム構築に関与し、実際にそれらを活用した教育にも携わっている。さらに他分野のシュ ミレーション教育等の研究を通じてICT教育の可能性を学んでいるところである。これらの教育状況や背景等から、各報告を振り返り、若干の感想と二次調査に向けての希望を述べてみたい。

冒頭司会進行 白川充会員(仙台白百合女子大学)
冒頭司会進行
白川充会員(仙台白百合女子大学)

 はじめに、双方の調査結果からもICT=遠隔会議システムという認識が指摘されている。ICTには遠隔会議システムをはじめ、情報共有や情報分析など様々な機能やツールがある。社会一般でのICTの活用目的は、サービスの向上と業務の効率化に集約されている。すなわち、SW実習教育におけるICT活用は、教育の質の向上と教員・実習指導者の業務効率化である。教育の質や学生にとっての効果評価は未知数であるが、教員・実習指導者・学生とのリアルタイムの情報共有などは、それぞれにとってのメリットも大きい。システム導入には設備投資コストが伴うものの、反面、消耗品や郵送料などのコストや時間コストを抑えられるメリットがあることも併せて捉えておきたい。

モデレーター 明星智美会員(日本福祉大学)
モデレーター
明星智美会員(日本福祉大学)

 次に先行する他分野の例と比較してみたい。調査報告では、スーパービジョンは不十分との指摘がされていた。他分野では、eラーニングのほか、受講生管理と演習で遠隔会議システムを用い、その中でもスーパービジョン演習は行われている。遠隔会議システムに様々な別ツールを目的機能に合わせて用いることにより、指導効果が少しはあると考えてはいるが、明確な教育効果は検証されていない。そのため、今後の研究では、SW実習演習教育に関わらず、他分野でのICT活用教育例も整理検討されることも期待したい。さらに、今後の二次調査では、その結果を実習教育で学ぶべき内容と各ICT機能や種別をマトリクス的に整理していただけるとよりわかりやすくなるのではないかと感じた。加えてその先では、対面とICT活用の比較した教育効果やその評価方法まで検討していただけることを期待したい。

研究報告者 保正友子会員(日本福祉大学)
研究報告者
保正友子会員(日本福祉大学)

 最後に、ICT導入は、養成校、実習先、指導者の意識や諸事情などにより左右される。また、今般の調査は相談援助プログラムと銘打っていたが、新カリでは「地域」がキーワードになっている。二次調査に向けては、ICTの一部導入や全面導入などのパターンも想定し、将来的に関係各校や実習先で実装できる提言や新カリにおける実習・演習プログラム内容も意識した各ICT機能と教育内容の関連や可能性までの提言を期待したい。

春季研究集会「研究報告 課題1(ICTを活用した演習教育の現状と課題)」の感想

群馬医療福祉大学 大久保 圭介

研究報告者 山田克宏会員(東大阪大学短期大学部)
研究報告者
山田克宏会員(東大阪大学短期大学部)

 今回の調査報告によると、学生は対面よりもオンラインの方が「出席しやすいと感じている」割合が高い一方、「オンライン授業に関する満足度」は低いという結果であった点に関心を持った。

 また、“対面授業”と“オンライン授業”を比較すると、全体的に“対面授業”の方が高い教育効果を得られている様子が示唆された。これは私自身の肌感覚とも一致する結果であった。

研究報告者 大村亜沙美会員(みやぎ県南中核病院)
研究報告者
大村亜沙美会員(みやぎ県南中核病院)

 しかしオンライン授業のメリットについても感じていることがある。それは、コロナ禍に対応するかたちで休息に導入が進んだオンライン授業が、何らかの配慮を必要とする多様な学生を受け入れることにも役立つと認識しており、今後もオンライン授業を併用していくことの意義を感じている。

 そこからソーシャルワーク実践現場におけるICTの活用に視点を移してみると、現場での業務効率化の観点だけではなく、ペーパーレス化やソーシャルワーカーとクライエント双方の移動に伴う環境負荷や所要時間など様々な面の“移動コスト”を改善する効果も期待できるのではないかとも考えられる。

研究報告者 芳賀恭司会員(東北福祉大学)
研究報告者
芳賀恭司会員(東北福祉大学)

 今後は、重要な局面では対面、日ごろのコミュニケーションではICTツールをうまく活用するといった使い分けができるようなICTリテラシーの高いソーシャルワーク専門職が望まれているのではないだろうか。

 あくまでも単に情報を求めるだけの相談援助に限定すれば、人間のソーシャルワーカーによる対面相談よりも、チャット・ボット(AI)で十分だという見方をする人も増えるのではないだろうかと考える。

研究報告者 堀田満生会員(音更町社会福祉協議会)
研究報告者
堀田満生会員(音更町社会福祉協議会)

 今回の調査協力者募集では「機縁法」が用いられたため、対象者の属性にバイアスがかかっているとの指摘もあったが、今後の二次調査以降にあっては、対象者にバイアスがかかっている点を留意したうえで一定の成果を得られるように進められていくことが確認された。

 いずれにしても、今後は対人支援の専門職にとってもICTに関するリテラシーが高いに越したことがないと言えることからも、ICT活用した演習教育の現状把握を試みる今回の研究の意義は大変大きいと感じた。今後の研究結果についても注目していきたい。

研究報告者池田雅子会員(北星学園大学)
研究報告者
池田雅子会員(北星学園大学)

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