日本社会福祉教育学会 NEWS LETTER No.11

2011年10月31日発行

巻頭言

学会における会員の主体的な研究活動を

「日本社会福祉教育学会」の会員である我々の多くは、本学会以外の福祉系学会にも所属しています。「親学会」等とも通称されることのある日本社会福祉学会は福祉関係者全員に関わる学会なので別格としても、それに加えて我々は自らの専門分野、関心テーマに応じて、様々な専門学会ともいうべきものに所属しています。日本ソーシャルワーク学会、日本地域福祉学会、日本介護福祉学会、日本子ども家庭福祉学会等々数えあげればきりがありません。

その中で社会福祉教育学会を自分の所属する専門学会の第一位に置く人は少ないかも知れません。加えて本学会は歴史の浅い学会ですし、会員数もまだまだ少ない新興(?)学会です。しかしだからこそ、ともすればマンネリ化してしまいがちな学会活動が、一人ひとりの会員の主体性を基礎に行われるようになる可能性があるとも思うのです。

正直に言って我々の多くにとって、「学会」活動は、年に一回(二回?)の年次大会に参加することに留まってしまっているのではないでしょうか。大会に参加し、シンポジウムや基調講演を聴く。そして個人研究発表を聴き、時に発表者として参加する。そのような受身の(または個人的な)活動のみになってしまっていないでしょうか。つまり、「年次大会」の数日間以外は学会に参加している、他の学会員と関わっているとは言えないことが多いと思うのです。(他には研究誌への投稿もあるでしょうが。)

しかしその点、本学会は理事会メンバーも若手・中堅が中心となり、積極的に会員に働きかけようとしています。例えば、来年度の大会では、社会福祉士養成教育課程の改正について「論ずる」だけでなく「検証」しようと考え、全会員にアンケートをとろうしています。(回答のご協力ぜひお願いします。)

更に特徴的なものとして「会員主体」の学会活動を象徴する例の一つとして「宿題研究」があげられるでしょう。現時点で「宿題研究1 専門基礎教育のあり方研究」「宿題研究2 職業人養成教育としての実習教育の課題」「宿題研究3 社会福祉士養成教育はソーシャルワーカー養成教育たりうるか」の3 グループが並行して研究を開始しており、さらには第4グループが立ち上がろうとしています。

幾つかの学会に関わっている立場から見ても、この本学会の「会員による通年の自発的な研究活動」は、とても良い動きを見せているように思います。

筆者の関わっている第3グループを例に上げると、担当理事(保正、川上両理事)を中心にしながらもニューズレターを見て自らメンバーになった会員も含め既に何度も話し合いが行われています。その中で、社会福祉士養成教育を様々な「比較」の視点から検討しいこうという結論になりました。具体的にはひとまず、アメリカ、イギリス等のソーシャルワーカー養成との比較(国際比較)と、社会福祉士制度制定以前の日本の福祉系学部・学科等のカリキュラム等との比較(歴史的比較)の2 つのサブグループを走らせることとなりました。そしてそれぞれが複数回の集まりをもち、グループ内部での発表を行い大会での報告を始めだしています。そしてさらに途中参加で新規のメンバーも少しずつですが加わってもらっています。

他の宿題研究班も同じでしょう。年次大会への単発の参加や研究誌への投稿といった「場」として学会を利用するだけでなく、そこで得た仲間と共に共同研究を展開していくといった試みは学会のあり方として素晴らしいものになるのではないでしょうか。(少し手前味噌すぎるでしょうか。)

さらには理事会がきっかけを提供する「宿題研究」とは別に、会員が応募した研究テーマを興味をもつ会員で共有しようという「課題研究」も展開していきたいと理事会としては考えています。

小回りがきき、従来からの慣習にとらわれない本学会ならではのメリットを生かした、会員による学会活動を期待します。

同志社大学
小山 隆

目次

  • 巻頭言 学会における会員の主体的な研究活動を
    同志社大学 小山 隆
  • 2011年度 第7回大会・青森にて開催される
  • 会員の声~第7回・青森大会参加者より~
  • 2011年度 総会報告
  • 2011年度 第2回理事会報告
  • 2011年度 第3回理事会報告
  • 入退会報
  • 会長挨拶
  • 新任理事の挨拶
  • 宿題研究の進捗状況と課題研究への提案募集について
  • 第2回春季研究集会の開催予定について
  • 第8回大会(東京)の開催予定について
  • 『日本社会福祉教育学会誌』への投稿募集

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