What is the essence of social work practicum?
~ 3つのMy ルール ~
「アポリア連載」の終了(NL50号にて終了予定)に伴い、新企画を始めます!
昨年度(2024年度)、会員の皆さまにご協力いただき「社会福祉教育のどのようなことに興味関心を持っているのか」を把握し、今後の学会運営(大会や研究集会など)と更なる発展に生かすことを目的にアンケート調査を実施させていただきました。(集計結果は、NL45号にて会員の皆さまに共有させていただいております。)集計結果を概観すると、NLに取り上げて欲しい話題として、ソーシャルワーク実習教育の進め方・ソーシャルワーク演習の進め方・教育評価・学生参加型の授業の作り方といった項目の回答数が多いことがわかりました。この結果を踏まえ、まずは、ソーシャルワーク実習教育・演習教育に焦点を当て、教員・実践現場の職員・学生から、各々が描いているソーシャルワーク実習(あるいは演習)教育のあるべき姿をご提示していただきたいと思います。
是非、本学会員の皆さまにとって実習(あるいは演習)教育のあり方を今一度考えるきっかけとなりましたら幸いです。
第1弾は「学生」に焦点を当て、お話をおうかがいしました。ご協力いただいたのは、武蔵野大学4年生の鵜飼穂香さん、笠原優華さん、島田愛美さんです!
3人の方々にはソーシャルワーク実習を経験した「学生」であるからこそ抱く、実習教育・演習教育のあり方に関する想いを熱く語っていただきました。純粋かつ率直な想いをおうかがいし、勉強になることばかりでした。
鵜飼さん、笠原さん、島田さん、お忙しい中、ありがとうございました!!
あなたが考える「理想のソーシャルワーカー」とは?

「ただ寄り添うのではなく、クライエントの今後を見据えながら生活を豊かにできる人」
授業を通じて面接技法などを学ぶ中で寄り添うことが大事なのかなと思っていたのですが、実習を通してずっと寄り添っていてもよくないというのを教わりました。クライエントさんに頼まれたことすべてを引き受けていたらその人の為にならないので、自分でできるようになるまでを支援するような感覚が大事であり、ただ寄り添うだけが仕事じゃないというのを実習を通じて学びました。

「観察力がある人」
実習を通じて思ったことなのですが、1回の面談だけではその人については限られた情報しか得られないと思いました。ですので、その方がその日何を着てきたかとか、どういう容姿をしているかといったように言語的なコミュニケーションのやり取りが中心となる面談だけではわからない情報もきちんと自分で取っていかないと、その人の全体像が見えてこないのではないかと思ったからです。その他、観察力をつけるということは、その人個人だけではなくその周り(環境)に何が足りていないのかということにも目を向け、個人と環境の全体像をきちんと捉えて支援ができるようになりたいからです。

「その人の力を引き出せる人」、「安心できる場を作れる人」
私自身がこの人話しやすいなと思う人というのは、頑張って明るくしようとかではなく、自然体でいる方が多いなと思っています。そのため、話しやすい人や相談しやすい人は、自然体でいる人だからこそ話しやすい雰囲気を出していて、その空気感が目の前にいるその人の力を引き出すことができたり、自分の目の前の人に対して安心できる場を作れるのではないかと思っているからです。
「理想のソーシャルワーカー」になるために「現在行っている」Myルール3つを理由や方法も含めて教えてください。

My Rules
- 専門職としての技術をしっかり学ぶ
- 普段の生活の中での物事の客観視
- 国家試験勉強
自分がソーシャルワーカーとして働くというのは決まっているので、勉強の中でも面接技法とか専門職としての技術みたいなのはしっかり学ぶようにしてます。ワーカーとしての技法などは教科書を読んだり、AIを使って理解はできると思うんですけど、事例などを通して、「こういう言い方がこれの技法にあたるんだ!」みたいなのを考えることでより理解をしやすくしています。
他には、普段の生活の中で友達などと話をしていて、客観視するようにしています。どうしてこの人は今自分に相談をしてきたのかとか、そういうのを考えて答えを出すようにしてます。その他、私自身が目指すソーシャルワーカー像があるので、そのためには国家試験に受からないとダメなので、今は国試勉強必死にやってます(笑)。

My Rules
- 何事にも挑戦すること
- 相手のニーズを見極めるための積極的な声がけ
- 国家試験勉強
1つ目は、視野を広げることが重要だと思っているので、声をかけられたら、とりあえずやってみる、何事にも挑戦することを徹底しています。
2つ目は、対人援助にもつながると思っているのですが、接客業のアルバイトを通じて、なるべく自分から積極的に声をかけ、その人が今どのような情報やサポートを必要としているのかを見極めるように積極的にコミュニケーションをとることを心がけています。
3つめは、ソーシャルワーカーになるためには国家試験に受からないといけないので、今は国試の勉強をすること…です(笑)!

My Rules
- 自然体でいること
- 自分の周りにいる人への敬意と感謝
- 当たり前を当たり前と思わないこと
ソーシャルワーカーは相談支援なので、話しやすい・相談しやすい人でいることは重要だと思っています。私にとって相談しやすい人は、頑張って明るくいよう!とかじゃなくて、自然体でいる方が多いなと思っているので、自然体でいることを大切に思うようになりました。
昔、学校に通うのがつらい時期があったのですが、その時に人との繋がりが途絶えた時期がありました。今まで当たり前に友達と遊んでいたこととか、家族とも衝突することが多くなってしまったことがあったので、今まで当たり前だと思っていたことは当たり前じゃないんだなと気づき、だからこそプライベートだけではなくワーカーとして支援する上でも自分の周りにいる人にまず感謝をしながら支援することができる、関わることができるような「当たり前」の環境や時間を大切にしたいなと思っています。
大学で学んだこと(実習(あるいは演習)教育)の中で、実習中、どのようなことが役に立ちましたか

自分にとっては、実習指導の時間の中で学生同士の話合いがとても良い時間でした!帰校日指導の時にみんなに久しぶりに会えるというのも楽しみだったほか、自分が実習を通じて経験したことの話をした時、分野の異なる実習先の学生から、「それってどういうことなの?」とかいろいろな質問をしていただきました。その質問を通じて、「そこはわからないから指導者さんに質問してみます」といった学生相互のやり取りがあった上で実習指導者の方にお話をおうかがいすることが一番の学びになったと思います。
演習については、実習が全て終了した後の「ソーシャルワーク演習Ⅴ」の時に学生がそれぞれ事例を持ち寄って検討することを実習指導クラスとは異なるクラスで行う中で出た質問(制度のことなど)が学びになりました。自分が行った実習先施設やその分野の知識はしっかりと頭に入っている状態かつ実習記録を見返しながら答えるというのも大変でしたが、かなり学びになりました。
実は私、実習指導や実習がなかったらおそらくソーシャルワーカーになろうと思っていませんでした。実習指導の授業の雰囲気づくりを先生がしてくださってとてもよい雰囲気の中で「ソーシャルワークとは」について考える時間を実習開始前後で深めることができました。実習中は、指導者さんは毎日とても忙しい中、1対1の振り返りの時間は必ず作ってくれました。そこでは質問もしやすく、質問に対するフィードバックも必ずくださったので深い学びにつながりました。
その他、実習に行くまでは一般企業説明会に行っていました。とりあえず国試は受けるけど一般企業に就職しようかなと考えていました。いざ実習が始まって利用者さんと話をしている実習指導者の方の姿を見て、普通に話をしているだけなのに、振り返りをしていただいたら(クライエントの方との面接場面で)技法を使ってて、「すご!」と思いました。「普通に(ワーカーとして)かっこいい!」とも思い、「ワーカーにしかできない仕事ってあるんだ!すごいな!」と思いました。実習指導だけではなく実習を通じて、「医療的な支援ではなく、生活支援でも人を助けられるんだ!」と思い、MSWを目指しました。

一番役に立ったなと思うのは、計画書です。計画書は思っていた以上に詳細に書く必要があり、作成するのがとても大変でした。しかし、計画書を書いたことによって、自分が実習中、どういう行動を起こさなきゃいけないのかというのが明確になりました。「これがクリアできたから、じゃあ次はこれをやってみよう!」という指針があったのが、非常にやりやすかったなと思います。
計画書を作る過程で、最初は計画書を作ったことがない私たち学生は何もわからないので、内容も抽象的で何にでも当てはまるような計画を立てる傾向があるなと他の学生を見ていて思いました。しかし、実習計画書を添削してくださる先生が「ここをもうちょっと詳細にこういう風に分解して解像度を高めていったらいいんじゃない?」というようなことを教えてもらって、より計画書が鮮明になったかなって思います。

1つが、ソーシャルワークの授業を通じて、自分を客観的にしっかりと見ることができました。以前は自分の考えが偏ってしまい、白黒決めてしまう傾向だったのですが、授業内でそれは認知の歪みということを学びました。本当は物事にはグレーゾーンがあるということに自分自身、気づいて納得しました。悩んでいる時というのは、白黒思考になってしまうので、実習の時も最初の方は考えが偏っていたのですが、「あっ今ちょっと偏り過ぎてる!」と自分で気づいて修正でき、授業で学ぶことができてよかったと思い、実習にも生かせてるな!と嬉しくなりました。
2つ目が、ジェノグラムやエコマップ、病気のことを事前に学べたことです。実習中、アセスメントシートや支援計画が出てきたのですが、それを目にした時に、すぐにどのようなことなのか想像して理解できたことやそこから何を読み取る必要があるのか考えが及んだことがとても良かったなと思います。
実習に行く前に「(大学から)こんなことを教えてもらいたかったな」ということがあれば教えてください

面接のロールプレイを学生以外でしっかりやったことがありませんでした。やはり学生同士だと、だいたい仲いい子と一緒に授業受けてるんで、仲いい子とロールプレイを行うと笑ってしまい、真剣にはできませんでした。
実習で初めて患者さん役をワーカーさんがやってくれた時、私はワーカー役を行ったのですが、1回目はボロボロでほぼ何もできませんでした。その時に、実習指導者の方が基礎から面接のあり方を教えていただき、 2回目はしっかりと行うことができました。他の大学の子と話をした時に、ロールプレイを授業で行っていたという話を聞いて、もう少ししっかりやりたかったなと思いました。

相談援助をリアルに練習する授業があったらいいなと思います。たぶんですが、多くの実習先が実習生に相談援助を任せられないのは、学生は勉強しているから知識はあるけどその場でクライエントと面と向かった時に何を言い出すのかが怖いからなのではないかと思うんです。だから、実習行く前にたくさん相談援助の練習をして、先生達からいろいろアドバイスをいただいた上で実習に行くとまた違うのかなと思いますし、そういう授業を受けてきているということを実習先がわかると「相談援助を少し任せても大丈夫かな」と思ってもらえるのかなと思いました。一応学校では行っているのですが、グループワークで近くの人とやってみましょうという形式だったりするので、実際に先生からの意見をもらうことは難しいですし、知識はたくさん詰め込まれていくから頭ではわかっているのですが、実際、面と向かった時はまた話が違うのではないかと思います。
他に、多くの実習生に当てはまると思うのですが、実習中、何もできない時間(クライエントから面接同席を断られる、元々実習生が入ることのできない面接など)が長い場合もあるのではないかと思います。その時間に机に座って教科書や本をひたすら読むというのは、最初はいろいろ本を読み、いろいろな知識を得られて学びになるとは思います。ですが、実習に行っている目的の1つは「本を読むため」じゃなくて、「実技を身につけるため」というのがあるはずだと思います。実習生という立場だと自分から「あれやっていいですか?これ行っていいですか?」と言える場面と言えない場面もたくさんあるのではないかと…。そういう時にどういう風に行動したらよかったのかなというのが、ずっとモヤモヤしたまま実習が終わっちゃうということってたくさんあるのではないかとも思いました。
「実習」って聞くと常に動いていたり、常に何か自分でアクションを起こしている状態を想像すると思うんです。学生は、何もできない時間があるとは考えてもいないだろうし。なので、その何もできない時間の場面でどういう部分を見といた方がよい、事務所の中のこういうところに焦点を置いて見といた方がいいというような「何もできない時間」の対処法、そこから何を学んだ方がいいのかなどを大学側から教えていただいていたら、実習生としてモヤモヤとした気持ちと闘わずにいられる学生は多いのかなというのは思いました。
大学1年生から長い間、実習について考え、2年生になったら演習がある中で長い時間かけて「実習はこういうものだ!」みたいな自分の理想像は皆あると思うし、その中で「何もできない時間」という感覚や考えは学生にはまったくないと思います。だから、実習に行ったら「あれしよう!これしよう!」と思い描いていたことが「何もできない時間」が長いとそれが全て無くなってしまう感覚になると思います。

同じ実習先の種別同士の勉強会のようなものがあったら、良かったかも知れないなと思います。私が所属していた実習クラスは、私の実習先種別の人は私ともう一人しかいなかったので、その子と話はしていたのですが、関連する制度や法律含め、こういうことを事前に学んでおいた方がいいよというゼミ形式的な勉強会があったらよいなと振り返ると思います。
その他は、相談しやすい場があるとよいなと思いました。場所にもよると思いますが、実習指導者の方もお忙しいので毎日話せる感じではなく、もう少し気にかけてもらえたり、ちょっとしたことでも実習指導者の方や大学の先生からも声かけをしていただけると実習生は安心するではないかと思いました。

