日本社会福祉教育学会 NEWS LETTER No.14

2012年7月25日発行

巻頭言

実践的ソーシャルワーク教育を探る-「学ぶ」人の視点から-

社会福祉教育にはさまざまな側面がある。従来「福祉教育」は,教育という言葉から,子どもたちを対象とした教育という意味が強い。しかし,ボランティアについて理解することをはじめとして,多くの人が社会福祉について学ぶことを目標とした教育という意味もある。福祉に関する学びには,さまざまな生活に関することと関係が深く,子どもから大人,高齢者に至るまで全ての人に関係する。そして,福祉教育は,私たち一人ひとりが社会の中で幸せであることを願い,追求するための教育活動として考えることができる。

これとは別に,専門的な実践活動としての社会福祉に関する教育という意味もある。こちらは,社会福祉実践に関する教育という意味であり,大学や専門学校等での高等教育機関における教育のことである。つまり,専門的社会福祉職(社会福祉士や介護福祉士)になるための教育である。1987年に「社会福祉及び介護福祉士法」が制定され,1989年3月には第1回の国家試験が行われており,今年(2012年1月)に第24回試験が実施された。また,精神保健福祉士法が1997年に制定され,同じく第14回試験が実施されている。専門職としての福祉士の教育では,質の高さが求められるようになっており,教育プログラムにより実践的な内容が盛り込まれるようになっている。

さらに,国家試験合格後のいわゆる現任者教育も重要であり,社会福祉実践(ソーシャルワークやケアワーク)をどのように行い,発展させていくのかということも重要なことになる。

私としては,大学において精神保健福祉士養成教育に携わるという立場から,2つ目のソーシャルワーカー養成教育と卒業した後に重要となる現任者への教育について,実践的ソーシャルワーク教育という視点で考えることが多い。また,最近では,私が関わる精神保健福祉分野では,精神障害を持つ当事者が当事者としての視点を持ちつつ支援を行なうことも多く,当事者の立場から学ぶという新たな教育の需要があるという側面も忘れてはいけない。

最近,強く思うことは,学ぶ人の立場からの「学ぶ」プロセスの重要性である。学びとは,一人ひとりの個別な取り組みであり,その人にとって,学ぶとともに理解し,学びを通じてどのような実践や活動・行動に繋げていくのかということである。また,個別の学びに視点を置くと,学ぶプロセスはどのようになっているのかということにも関心がある。社会福祉「教育」学会ではあるが,学ぶプロセスに関心を持ち,質的な研究方法を活用して取り組んでいきたいと考えている。

長崎 和則(川崎医療福祉大学)

目次

  • 巻頭言~実践的ソーシャルワーク教育を探る-「学ぶ」人の視点から-
  • 2012年度・第8回大会(第3報)
  • 2012年度第1回理事会報告
  • スウェーデン・ストックホルム国際会議
  • 学会探訪③~日本生殖医学会
  • 日本社会福祉系学会連合 東日本大震災対応委員会
  • 会員の声~私の福祉教育
  • 【お願い】2012年度の会費納入
  • 『日本社会福祉教育学会誌』第8号への投稿募集
  • 編集後記

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